なんのためのペルソナか

一時期、デザイン界やマーケティング界で流行ったペルソナ。架空のユーザ像を用いてデザインの拠り所にするといった手法。
ペルソナというと当時から胡散臭いイメージが付きまとい、今でこそ市民権を得ているが懐疑的な見方をされることも多い。もちろん効果はある。

○ペルソナの胡散臭さ
・結局何に使うかわからず、作っただけで終わってしまうケースがあり、役に立たなければ意味をなさない。
・とにかく再現性に乏しい。作り方や使い方が不明確で因果関係がわかりにくいことから不確実な手法に思える。
・理想のユーザーを作ってしまう。サービスや製品に対して積極的に取り組む仕事も家庭もうまくやっている人物像。そんなスーパーマンは実際しない。そんなペルソナを作ってもシステムを肯定するための都合の良いユーザー像になるだけで改善は期待できない。
・ワイガヤで取り組む。楽しくやって結果が出るのだろうか。そう感じる人も少なくない。何より軽薄な取り組みに見えてしまうことが一番胡散臭く見える要因となる。
教科書に載っているサンプルが稚拙なものがああり、おままごとレベルに見えてしまう。

○効果的なペルソナは?
何かしらの葛藤があること。葛藤を持っていないペルソナは製品開発では役に立たない。デザインはその葛藤を解決するものだからだ。つまりペルソナには人間臭さが必要となる。葛藤がないところに良いデザインは生まれない。スーパーマンならデザインが悪くても幸せになれる。これこそ実際しない架空のユーザー像に他ならない。

○ペルソナの精緻化
・架空の人物像というが、これが誤解のもとになる。架空の人物というと対象サービスにとって都合のいいユーザを描いてしまう。
詳細を記述し人物がありありとわかるようなものにしたほうがよい。
なんなら実際の人物の方が有効だ。現実の代表ユーザを登場させた方がまだ良い。
・教科書載っている様な年収や学歴などのデモグラフィックな情報はおおよそ役に立たない。それよりも、嗜好性がわかる記述が必要になる。例えば、
・ベタな笑いが好き
・ビールより日本酒か焼酎。それよりもワイン
・ブランドものが好き
・世話好き
・字がうまい(サインは万年筆を使う)
・たばこを吸う
・イタリアに傾倒
・知識を披露する
・上下関係を重視
・飲ミュニケーションを重視
・金勘定は得意
・キーボードは人差し指打ち
・ゴマスリがうまい
・ローファーに素足
どんな顔が思い浮かぶだだろうか。IT不器用なちょいワルオヤジを思い浮かべて頂けたらこのペルソナは成功と言える。そうでなければ何かが足りていない。

○ペルソナの効果
1)目標が定まる
詳細な人物像がわかるのでどこまで何を作ったら満足するかがわかる

2)関係者での合意が取りやすい
ターゲットと目標値が定まるので、合意が取れる

3)利用シーンが描ける
単純にこの人だったら、こういう行動をする情景が浮かぶ。出来の良いペルソナならそれが可能になる。
ペルソナは一人で十分なんて言い方をするが、利用者というのは複数人いるのであって、例えば家庭内の機器、テレビ、ビデオなんかは共有して使うものなので、複数人の登場人物がいた方が適している場合もある。
ユースケースシナリオにおいては、ペルソナという言い方ではなくアクターという表現が用いられるが、アクターというだけあって複数人が登場することが前提となっている。

4)想像力が働く
人物像が出来上がると自然にシナリオも付随してくる。

○まとめ
結局の所、現実の知り合いの誰かを加工した方がリアリティがあってよい。リアリティが必要ゆえに多くの人間、人間性を知っている人の方が質の高いペルソナを描くことができる。それが製品開発に行かせるとは限らないが、いかに人間らしさを描けるかがペルソナの勝敗をわける。

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